指導医・研修医ブログ

たすきがけ研修について

 私はいわゆるたすきがけプログラムを利用して、1年目に大学病院、2年目にあづみ病院での研修を選択しました。精神科志望者として参考になればと思い、以下にその感想を記します。
 大学病院では、commonな疾患よりはrareかつcriticalな疾患をもつ患者さんたちが集まり、それに対応するための医療体制が整えられています。研修医の学ぶべき知識、積むべき研鑽もそれに応じたものになります。そのなかで科によっては学会発表や論文作成の機会も与えていただき、アカデミックな世界を垣間見ることができました。診療の基礎を学べる科としては、放射線科と麻酔科の研修が何科の志望者にもオススメできます。特に放射線科で1日中画像とにらめっこする経験は、他では得難いものでした。
また、私は公衆衛生に関心があり、空き時間に教室の門を叩いてみたところ、貴重なデータを提供していただいたり、学会にお誘いいただいたりと歓迎していただけました。市中病院で公衆衛生にコミットできるのは、かなり限られた環境になると思いますので、大学の地の利を享受できたことに対し感謝しています。
大学での研修で他に挙げられるメリットとしては、各科に恩師が増えるのも良い点でしょう。大学院進学を考えていて大学勤務が続くとすれば大いに助けられることもあろうかと思います。
あづみ病院に来させていただいて2ヶ月経ちますが、大学との一番の違いは救急外来での当直です。自分で検査と診断を考えるプロセスに、昨年とは違った種類の責任感が芽生え、目を通す参考書のメニューも変わりました。当院では立地柄、深夜の救急車受け入れ台数は比較的少ないため、自分のメンタルヘルスを保持しながら、救急対応の基本を身に付けることができます。週1回の日当直を通して、それを身に付けるのが私の当面の目標の一つになりました。
 これについて補足としては、信大では初期研修医は基本的には救急ローテ期間しか当直に入りません。そのため研修から離脱してしまうリスクを低く抑えられることがあります。慣れない当直で睡眠を中断される経験は、個人差や施設差はあるにせよ、初期研修で最も大きな負荷であることは間違いないでしょう。一般的に夜勤が睡眠障害や不安障害を発症するリスクとなることには睡眠医学上の多くのエビデンスが存在します。1年毎に自分に合った施設に異動でき、そういったリスクを分散・最小化できるのは、長期的にみて利点だと思います(一方でスタートダッシュこそ大事という意見もあるでしょうが)。
 このように私は、今のところたすきがけ研修に大きな不満なく過ごせており、あづみ病院を研修先に選んで良かったと思っています。また志望科の精神科については、症例検討会が毎週開催され、精神科に興味があれば研修期間外でも参加可能となっており、年間を通して勉強を続けることができます。肩肘張らず質問等しやすい雰囲気で行われるので、実習・研修中に参加されてみてはいかがでしょうか?


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産業医主体の学会で参加者も多く非常に活気がありました

初期研修医 1年目 山田