精神科ブログ

「苦手だった精神科、今は…」

実は学生の頃から精神科という科目は苦手でした。専門用語には漢字や似たような言葉が多くて近寄りがたい雰囲気を感じ、実習で病棟にあげていただいた際には言葉は同じなのに文化や考え方が違う異国に放り込まれたような心細さを感じていました。

そんな苦手意識や不安を持ちながら研修を開始しましたが、研修医として学生時代よりも密に患者さんに接するようになったからでしょうか、ふたを開けてみると全くの杞憂でありました。病棟に入って周りを見渡すと、普通の会話をして普通にくつろいでいる患者さんたちの姿が目に映ります。時には興奮してなかなか疎通の取れなくなる方もいますが、それは決して永続的なものではなく、時間はかかったとしても落ち着いた後はちゃんと意思の疎通ができることを知りました。彼らには彼らなりの理由があって困っているからこそ今の訴えがあり、話が通じない・何を考えているのかわからないと言って耳を塞いでいたのは自分の方だったのではなかったか…と感じました。そんな気付きを与えてくれた病棟の患者さんたち、指導してくださった雨宮先生をはじめ上級医の先生方、外来・病棟・その他すべてのコメディカルの皆様方、いつも温かく見守っていただき、また院内での診療以外にも往診・施設訪問など数々の貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。

 

安曇総合病院 初期研修医2年目 浅妻正道

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認知症関係者研修会

東北福祉大学の矢吹知之先生(なんと安曇野市穂高のご出身!)をお招きして「在宅で介護する家族支援と認知症の理解」というタイトルでご講演を頂きました。

 
認知症はその定義からしても社会的な病気です。
家族は何故虐待をしてしまうのか・・というところからはじまり、どのような対応をすればよいのかというところまで興味深いお話をきくことができました。
ケア・介護は善きものであるという前程が家族を苦しめるているそうです。
うまく対応できない罪悪感から自己嫌悪となり自己攻撃(自傷や自殺、うつのリスク)にいたり、自分を攻める限界となると投影として攻撃的態度に転じ、身体的・心理的な虐待になってしまうとのことでした。
介護した人にしかわからない初期の戸惑いを緩和する支援としては怒りと恐れのネガティブな感情への共感と、今の状態を納得できる情報提供が重要だそうです。
そして家族だからこそうまくいく部分と、上手くいかない部分があり、それを見極めることが必要とのこと。
介護をつづけていると介護負担感も蓄積されていくそうで、情報提供にとどまらない中庸な家族会などで他の家族から賞賛がえられるような肯定的なフィードバック、地域の中で理想と現実を埋める社会資源の準備など介護と医療の専門職と地域が一体となって取り組むことの重要性も指摘されておられました。

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病棟茶話会

病棟茶話会で患者さん家族にいただいたスイカを振る舞います。

 
このような機会があると、入院患者さん同士が知り合いになるきっかけになりますね。

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摂食障害教室(後半)

摂食障害の家族のための摂食障害教室
当院通院中の方以外のご家族でも参加できます。
 
0261−62−3166(代) 心理療法家 矢口または中村まで

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信州うつ病治療フォラーム

 信州大学にて、当院の鬼頭先生が前座をつとめ、群馬大学の福田教授をお招きしてのNIRS(光トポグラフィ検査)を中心とした講演会(信州うつ病フォーラム)が開催されました。


当院の鬼頭医師は昨年まで信州大学でされていたお仕事である老年期うつ病とアルツハイマー型認知症の鑑別補助にNIRSをつかう基礎研究について発表されました。苦労の末に論文化され国際学会でも発表されるようです。
研究の苦労話なども伺うことが出来ました。
群馬大学の福田教授はNIRSの実用化に向けた実践の第一人者であるとともに、生活臨床や当事者主体の最近のムーブメントのなかでも中心となって活躍されている先生です。
これまで先進医療(治験)としてしか使えなかったNIRSも、安いですが保険収載されました。
時間分解能に優れた簡便な脳機能画像検査としての利用が期待されています。
NIRSの基礎から臨床における位置づけ、精神科にも他科のように当事者とともに検討することの出来る明確なバイオマーカーができることで日常臨床がどのように代わるかというお話をされていました。
丁寧な問診や精神療法の大切さには変わりはなく、コミュニケーションツールとして新しい可能性が広がりそうです。

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安曇総合病院での研修の感想

 安曇総合病院精神科では、4週間研修をさせて頂きました。
その間に、色々と気付かされることが多かったように思います。  
特に印象的であったのが、患者さんを治療する場は病院の中に留まらないことです。
精神疾患は社会的な面で問題を抱える事が多く、その人だけでなく家族、地域社会との関わり方を支援してくことが大事となっていきます。
そのような診療科であるため、家族間関係の確認、行政との関わり、患者さん自身の生活環境への訪問に同席する機会が多くあり、病院で見る患者さんの状態はあくまで患者さんの一面に過ぎないことを知りました。
本来ならば、それらの事はどの科で診療するにしても、患者さんに関わる上では欠かすことのできない視点でありますが、僕自身研修医として働くなかで、どうしても患者さんの背後にある家族、地域社会、そして日々の日常生活といったことがぽっかりと視野から抜け落ちてたことは否めません。 安曇総合病院精神科での研修で、そのことを改めて意識することができました。
     そして、患者さんが必要とする医療を提供するには、多くの医療職、介護職の関与が必要となってくることも改めて感じました。
病棟での生活を支える看護職は元より、診断や状況把握に関わる臨床心理士、リハビリテーションに関わるOTやデイケア施設の職員、地域での生活を支えるケースワーカーや訪問看護ステーション、介護に関わる施設の職員、保健所や地域包括支援センターなどの行政サービスの職員といった多くの職種が患者さんを支える中で関わっていました。
言葉や知識としては知っていても、実際に多くの方が関与していることを目の当たりにすると、考えさせられるところがあります。 医師もあくまで医療職の一つであり、重要なことは、今度の治療や支援をする上で適切な診断を付けて、必要な職種への協力をお願いしていくことだと思いました。患者さんがよい方向に進めるよう、医師患者関係にこだわらず、視野を広くして考えなければいけないと感じました。  
4週間という長いようで短い間でしたが、今後の糧となるような様々な経験をさせて頂き、感謝の気持ちで一杯です。
本当にありがとうございました。

北信総合病院初期研修医 杉原潤 先生