精神科ブログ

安曇総合病院での研修の感想

 安曇総合病院精神科では、4週間研修をさせて頂きました。
その間に、色々と気付かされることが多かったように思います。  
特に印象的であったのが、患者さんを治療する場は病院の中に留まらないことです。
精神疾患は社会的な面で問題を抱える事が多く、その人だけでなく家族、地域社会との関わり方を支援してくことが大事となっていきます。
そのような診療科であるため、家族間関係の確認、行政との関わり、患者さん自身の生活環境への訪問に同席する機会が多くあり、病院で見る患者さんの状態はあくまで患者さんの一面に過ぎないことを知りました。
本来ならば、それらの事はどの科で診療するにしても、患者さんに関わる上では欠かすことのできない視点でありますが、僕自身研修医として働くなかで、どうしても患者さんの背後にある家族、地域社会、そして日々の日常生活といったことがぽっかりと視野から抜け落ちてたことは否めません。 安曇総合病院精神科での研修で、そのことを改めて意識することができました。
     そして、患者さんが必要とする医療を提供するには、多くの医療職、介護職の関与が必要となってくることも改めて感じました。
病棟での生活を支える看護職は元より、診断や状況把握に関わる臨床心理士、リハビリテーションに関わるOTやデイケア施設の職員、地域での生活を支えるケースワーカーや訪問看護ステーション、介護に関わる施設の職員、保健所や地域包括支援センターなどの行政サービスの職員といった多くの職種が患者さんを支える中で関わっていました。
言葉や知識としては知っていても、実際に多くの方が関与していることを目の当たりにすると、考えさせられるところがあります。 医師もあくまで医療職の一つであり、重要なことは、今度の治療や支援をする上で適切な診断を付けて、必要な職種への協力をお願いしていくことだと思いました。患者さんがよい方向に進めるよう、医師患者関係にこだわらず、視野を広くして考えなければいけないと感じました。  
4週間という長いようで短い間でしたが、今後の糧となるような様々な経験をさせて頂き、感謝の気持ちで一杯です。
本当にありがとうございました。

北信総合病院初期研修医 杉原潤 先生