精神科ブログ

精神科研修の感想

 今回の精神科研修はわずか5週間(週4日)の短い期間でしたが、病棟・外来・往診とその他の活動をとおして、実に多くの経験や気づきを与えていただきました。

 
私にとってまず印象的だったのは「朝会」です。精神科病棟では毎朝、精神科診療にたずさわる院内全ての職種が輪になって「朝会」が開かれ、入院・外来・在宅の情報共有が行われます。他の診療科と異なり、精神科において退院の転帰が「治癒」となることはほとんどありません。当事者は退院後もしばし病気・障害と付き合っていかなければなりません。そのために、他のどの診療科よりも多職種(院内外を問わず)との連携プレーが不可欠です。
 
精神科が対象とする疾患は、うつ病、統合失調症から、発達障害、人格障害、薬物・アルコール依存症、認知症まで多岐にわたりますが、それぞれにおいて、多職種連携のサポート体制が整えられていました。病院での入院・外来というのは、あくまでもその一要素にすぎないということを痛感しました。研修中、病院外での様々な活動も多く見学・経験させていただきました。断酒会やAA(アルコールアノニマス)、精神病当事者の会、認知症の介護家族会、地域活動支援センターなどです。
 
同時に、日本において「精神科」に対する偏ったイメージが依然として根強いことも分かりました。退院後の地域社会や職場への復帰には、周囲の人たちの正しい理解が必要です。外来初診でみえる患者さんでさえ、多くがそういったことを口にして周囲の目を気にされています。また戦後の日本で、諸外国と比べ何倍も多い精神科病院がつくられてきた歴史的経緯を知ることで、今日と未来の精神医療の課題がみえてきたと思います。
 
先生方をはじめ全てのスタッフの皆様、優しくご指導いただき、また貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。
 
 
 
北信総合病院 初期研修医2年目
(東京医科歯科大学医学部附属病院初期臨床研修プログラムⅠ) 栗原泰幸