精神科ブログ

クロザピン

クロザピン(商品名クロザリル®)という薬をご存知でしょうか?
「治療抵抗性統合失調症治療薬」簡単に言うと、通常使われる薬で効果が十分でなかったり、副作用が強く出たりする場合に使用することができます。
「最初から使えばいいじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、副作用がネックとなっています。
代表的なものが感染症にかかりやすくなる無顆粒球症で、死亡例も報告されています。この無顆粒球症が問題となり、世界的に販売が中止となったこともありました。
それでも、他の薬は何を使っても効果が出ないのに、クロザピンだけは効果が認められた、という事例が見直され、ならば他の薬が効かなかったりして困っている患者さんに限り、モニタリングサービスに登録し血液内科医や糖尿病専門医と連携をとりながら検査を頻回に行って副作用対策をしっかり行う、という条件で日本でも使用が認められました。2009年のことです。
そういった副作用の心配はありますが、手が震える、歩きにくくなるなどの錐体外路症状は従来の抗精神病薬より少ないと言われています。
遅ればせながら、安曇総合病院でも昨年から使用を開始しました。これまでに長野県内で使用された8人のうち6名の安曇総合病院の患者さんです。うち白血球の減少がみられ、投与を中止せざるをえなかった1例も実際にあります。
一方で、今まで従来の治療薬では難渋していた患者さんのご家族の方。クロザピンを使い始める時も不安そうでした。
今ではその患者さんの症状もだいぶ落ち着き、その方が笑顔で話される姿が印象的です。
ご質問等ありましたら、医師・薬剤師にどうぞ。話だけでももっと詳しく聞いてみたい、ということでも結構です。

(薬剤師 池川)