精神科ブログ

第3回あずみ野精神疾患治療検討会

第3回あずみ野精神疾患治療検討会が開催されました。
うつ病編、統合失調症編にひきつづき、今回は認知症編でした。
病院内の多職種、調剤薬局の薬剤師さん、近隣の開業医さんたちの参加がありました。

まず当院の中村伸治先生が、認知症についてのトピックスの話がありました。
・認知症は過去のデーターよりも多いかもしれないということ。
・新たにでた認知症治療薬をどのように使うべきかということ。
・認知症疾患医療センターの役割。国の政策。
・飲酒と認知症の問題、養子親子問題。
などの話でした。
ついで信州大学の鬼頭先生のNIRS(ニールス、光トポグラフィ)を用いたアルツハイマー病とうつ病の鑑別の話題でした。
NIRSの仕組みから研究の実際までわかりやすくお話いただきました。
 
NIRSは遠赤外線をつかって頭蓋外からタスクに対する脳の血流の増加をみる検査です。
日本で開発されたため日本での研究が多く研究もすすんでいるそうです。
最近NHKなどの番組で紹介されたことで一般にも注目をあつめています。
先進医療としてうつ病、双極性障害、統合失調症の鑑別の補助にたいして保険適応がなされました。
しかし、やっている医療機関はどこもパンク状態のようです。
信州大学にも機械はあり、問い合わせもあるようですがまだ研究用にしかつかわれていないそうです。
鬼頭先生らの研究では、タスクに対して健常者とアルツハイマー型認知症の方は前頭葉の血流は増加し、うつ病の方は増加しなかったそうです。一方でタスクに対して頭頂葉の血流はどの群も変化がなかったそうです。
将来的には高齢者のアルツハイマー型認知症の初期とうつ病の鑑別補助に応用できるようになるのでしょうか?