精神科ブログ

まちの病院がなくなる!?

安曇総合病院も老朽化した病棟の建て替えを中心とした再構築の計画が進んでいます。
そんな中、当地域の地域医療福祉のあり方を考える北アルプス地域ケアシンポジウムの第2回として、城西大学の伊関友伸先生をお招きして「まちの病院がなくなる!?」というタイトルでご講演を頂きました。
地域住民、病院職員の他、医師会の先生方や行政職の方など大勢の参加がありました。
伊関先生からは医師不足や医療崩壊、医療再生についてのお話がありました。
若い医師は教育のシステム、年配の医師は休みがないと医師は集まらないそうです。
また総合医に関しては当院のような病院こそ望まれます。
収容施設としての精神科病床は全国的に削減されていく方向ですが、高密度高機能の総合病院精神科病床は今後ますます重要になるという話もあり勇気づけられました。
公的病院である安曇総合病院は地域事情と遊離せずに地域に必要な医療を担いつづけるため、他の医療福祉機関とも協業した地域の医療のあり方を広く職員、住民で議論することが必要なこと、行政が主導して地域に必要な福祉を根付かせることが重要なこと、住民も地域医療の当事者として現状を理解し共感をもった行動をすることが大切ということでした。
精神科部門でも再構築の機運を高めていかなければいけません。

(樋端Dr)
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地域住民のための健康公開講座

安曇総合病院健康公開講座が開催された。
雪がふり足場も悪い中でどれだけの住民の方が来ていただけるか心配したが、大勢の地域住民、福祉関係者、職員の参加があった。今回は「高齢者の幻覚妄想~びまん性レビー小体認知症を中心に」というタイトルで信州大学精神科の天野直二教授の講演であった。
4大認知症の歴史から高齢者にどのような幻覚や妄想が多いのか、レビー小体型認知症とはどのような認知症なのかという話であり認知症の家族をかかえる住民の方からも盛んに質問がでて関心の高さがうかがわれた。

(樋端Dr)
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窒息した時には・・。

精神科病棟で窒息というのは非常に多い事故です。
歯科治療をしたり、食形態を個別に工夫したり、食事の置き場所や処遇を考慮するなどリスクを減らす取り組みはしています。
しかし、どんなに注意していても行動がまとまらず持ち込んだものや他の方の食事をせっついて食べてしまったりということで窒息のリスクはゼロにはできません。

身近にあって危険な食べ物はパンです。

窒息したときはハインムリック法や胸骨圧迫で押し出したり、吸引したり喉頭展開してマギール鉗子で掻きだしたりしますが、うまくいかないこともあります。
吸痰用の吸引器では吸引力がよわかったりすぐに詰まってしまったりします。

そんなときに秘密兵器が掃除機に異物誤嚥用のアタッチメントノズルを取り付ける形の強力吸引器でこれで命を救われた人もいます・・。

救急カート同様にすぐに使える場所に配備されていますが、なるべく使われることがないようにリスク管理を最大限行いたいものです。
 

樋端Dr
 

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精神医療オープン勉強会開催のお知らせ

精神医療オープン勉強会開催のお知らせ

精神科医療の制度、障がい者支援の制度もめまぐるしく変わっています。
安曇総合病院精神科では今後、障がい者の相談支援業務(ケアマネジメント)にも力を入れていきます。
ということで勉強会を企画させて頂きました。
パワフル&クール、でも情に厚い、スーパー支援者のお2人をお招きして地域での支援とこれからの精神科医療について語りましょう。
精神保健医療福祉関係者であればどなたでも参加できます。

テーマ「地域と連携した精神科医療と地域移行」
講師:
木曽障がい者総合支援センターともに 垣外里香氏
松本圏域障がい者総合支援センターボイス 東條知子氏

日時:平成24年4月13日(木) 17:30~
場所:安曇総合病院外来棟2F会議室

お問い合わせはメンタルケアセンターあずみ 郷津

TEL:0261-62-9830
FAX:0261-62-9860
 

樋端Dr

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第2回 あずみ野精神疾患治療検討会~統合失調症編~

当院のスタッフ、近隣の向精神薬をもちいた治療に関わる病院やクリニックの医師や看護師、薬剤師、調剤薬局の薬剤師などを含めた多職種での勉強会が開催されました。
毎回、向精神薬を発売している複数の製薬会社様(グラクソ・スミソクライン、大塚製薬、第一三共製薬)にもご協力いただいています。

「うつ病治療」をテーマにした第1回に引き続き今回は「統合失調症治療」をテーマに開催。

最初は当院薬剤部の池川尚薬剤師の「DIEPSSを用いた統合失調症患者における薬物療法の検討」という発表でした。
池川薬剤師は最近はクロザピンによる治療でも活躍しています。

DIEPSS(Drug-Induced Extrapyramidal Symptoms
Scale、薬原性錐体外路症状評価尺度)を抗精神病薬を使用している入院患者について調べ、当院の抗精神病薬や抗コリン薬の使用状況を全国の状況と比較したものを発表しました。
当院ではまだまだ多剤併用の傾向があるみたいです。

DIPSSを使っていると錐体外路症状が見えるようになってきますね。

つづいて当院の中村敏範先生の「アリピプラゾールの使用経験」の発表でした。
中村敏範先生は村井病院での研修中にアリピプラゾール(エビリファイ)の使い方のコツをつかんだそうです。
エビリファイは日本で開発された新規の抗精神病薬でパーシャルドパミンアゴニストと(ドパミンシステムスタビライザー)いう作用機序をもつ薬です。

体重増加や代謝系の副作用も出にくくうまく使えるといいのですが、作用が容量依存的でなく、少量でアカシジア様症状がでやすいなどの癖がつよく使い方がやや難しいです。
使いこなせるようになりたいものですね。

今回も近隣のクリニックの先生や薬局の薬剤師さんの参加もあり盛り上がりました。
第3回のテーマは(おそらく)認知症です。
詳細が決まればまた発表します。

 

樋端Dr

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自殺予防のためのアルコール・薬物問題の理解と援助

当院の古屋昌宏医師が、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生の講演を聞きに行った内容の伝達講習会がありました。
院内だけではなく地域の保健医療福祉の関係スタッフも含めての勉強会としたところ大勢の参加者がありました。
講演の録音を聞き込み、ギャグやネタ、口調まで松本先生になりきった古屋医師は大ウケでした。
(古屋先生、最高です。診察室でも松本先生モードになってしまっていたそうです。)
3時間の講演を1時間にまとめたため、かなりの早口でしたがやはり一時間では終わりませんでした。

今回は自殺予防、特に「うつとアルコール依存症」がメインの内容でした。

うつ病はアルコール依存症のリスクであり、アルコール依存症は自殺を促します。
眠れなかったり悩みがあるときに飲酒してしまうと、さまざまな悪循環が生まれます。
そして希死念慮が浮かんだ瞬間に自殺を既遂してしまうそうです。
アルコールの問題は常に意識して置かなければいけません。

その他に

「死にたい」には傾聴を~マイ人生哲学はいらない~
「死んではいけない」はいけない。
「死なない」約束をむすぶ。(次回の面接予約とセットで)
「底付きとは援助の中で体験するもの」
「支援資源に確実につなぐ」
「自傷しないことよりも援助関係が続くことが大事」
「問題の解決を援助する」
「距離をとれ」ではなく「チームを組め!」

などなどのわかりやすいキーフレーズでたくさんの気づきがありました。
皆がゲートキーパーとなり地域にさまざまなサポート体制とネットワークを作っていかなければいけませんね。
 

(樋端Dr)

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退院調整伝達講習

今回精神科認定看護師(退院調整)取得のため、研修に参加させていただきました。
基本的な退院調整看護師の役割をはじめ多職種との連携や多職種の仕事や役割を学びました。
そして、入院生活から地域生活への移行や地域で暮らすための地域定着支援について改めて考える機会となりました。
それについて今回伝達講習の機会を頂き、退院調整について話させて頂きました。
今回は、退院調整の導入くらいしかお話しできず、またこういった機会ははじめてで、うまく伝えられなかったのではないかと感じています。
退院調整と地域連携はまだまだ知ってもらいたいことが多くあります。その伝達をこれからも続けていきたいと思います。
そして、話したことが患者さんひとりひとりと関わる中でイメージができるのではないでしょうか。

こういった活動に興味がある人は一緒に退院調整を考えていきましょう(*^^)v

(西澤Ns)

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精神科部門歓送迎会

出会いと別れの季節である。
木の芽時を前に不安定になる患者さんも多く精神科部門は最も忙しい時期を迎える。
そんななか池田町の料亭「光悦」で精神科部門の歓送迎会が開催された。

退職者の挨拶と上司からの一言があり花束が贈呈されたが、定年退職となったベテランの二人はしばらく延長勤務をしてくれるそうだ。
他の部署や病棟に移動する人の挨拶もあったが小さな病院であり今後も一緒に仕事をする機会も多いだろう。
その後、各部署の代表からの一言や、結婚などのサプライズ報告、それから4月からの新師長と新主任の挨拶などもあった。


 「最高の病院、最高の病棟にしましょう」と挨拶する新主任(労組書記長でもある)と「精神科医療はチーム医療です」と挨拶するすっかり出来上がった新師長。
 

(樋端Dr)
 

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今年度最後の部門会議

精神科医療はチーム医療であり多くの職種がかかわります。
精神科部門では月に一度、勤務者以外の参加できるスタッフ全員が集まる部門会議があります。
今年度最後の部門会議であり各パートの総括と来年度の計画が話し合われました。
人事や診療報酬改訂への対応、相談支援体制の強化、ARP(アルコールリハビリテーションプログラム)の刷新、アウトリーチチームの新設、認知症疾患医療センター事業の強化、退院後訪問、家族会などなど来年度も計画が目白押しです。
その後、東京アルコール総合センター(成増厚生病院)へ研修に行った関川主任からの伝達講習がありました。
自助グループも豊富で背景人口の多さから同質の患者さんを集められる都市部の病院の方法論をそのまま使うことはできませんが、旧久里浜式治療プログラムや多職種による多面的アプローチなど参考になる点がたくさんありました。
当院ならではのARPに活かしていければと思います。

(樋端Dr)