統括院長あいさつ

 初めまして。佐久総合病院から赴任し、北アルプス医療センターの統括院長を拝命しました。この病院に勤務させていただくのは初めてで、責任の重さに身の引き締まる思いがしています。
歴代の統括院長の先生方が築き上げてきた診療体制を維持・継続しながら、さらに発展させていくことがもちろん私に課せられた使命ですが、最近の医療事情や病院の立ち位置から見て改善すべき点があれば適宜修正を加えてアップデートしていかなければなりません。
 私は三つの視点から現在の診療体制を点検したいと考えています。一つ目の視点は「地域」のニーズに合った医療ができているかです。近隣の住民や開業医の皆さんからの全ての期待に答えることは困難ですが、地域の中核病院としての立ち位置を考えると、まずは夜間・休日の救急体制や紹介・逆紹介などの基本的な役割が適切に果たされているかを点検する必要があるでしょう。何か不具合があれば改善に向けた検討を行っていかなければなりません。二つ目の視点は他の病院や施設との連携が適切に行えているかです。医療の細分化・高度化が進んだ現在では一つの病院で全ての分野に対応することは難しく、周辺の医療機関や大学病院との連携が必要不可欠です。また、社会の高齢化に伴いライフ・ステージに応じて老人保健施設などとの緊密な連携を検討していかなければならないでしょう。医療機関や大学病院との連携を横の糸とすると、在宅診療や老人保健施設は縦の糸にあたります。この2つを上手に紡ぎ合わせることで近隣住民の方々により良い医療を提供することが可能になると考えています。三つ目の視点は働きやすい職場作りができているかです。この4月から医師の働き方改革が本格化し長時間労働が厳しく制限されることになりました。このことは医師の健康を守るだけでなく、医療ミスをなくして患者さんにとってもメリットになるはずです。医師が担っていた業務のタスクシフトを進め、現場における種々のハラスメントを根絶し、それぞれの職種におけるキャリアアップを積極的に推進することで現在より働きやすい職場作りを目指していきたいと考えています。
 「質の高い医療と社会への貢献をとおし、地域の皆さまから信頼される病院を築きます」という北アルプス医療センターの病院理念に沿って、富田病院長をはじめ職員の皆さんと協力しながら病院運営を進めて参りますのでどうぞよろしくお願いします。

2024年4月1日 北アルプス医療センターあづみ病院 統括院長 松田正之